
この銘柄、まずは"分析"からいっしょに見ていきましょう。
事業と業績までを無料で公開しています。バリュエーションと"結論"パートは、筆者の個人用メモとして非公開にしています。
1. エグゼクティブサマリー
Alphabet Inc.(GOOGL = 議決権ありクラスA)は、検索広告・YouTube を中核とする Google Services、急成長する Google Cloud、そして Waymo を筆頭とする Other Bets を抱える時価総額約 $4.2 trillion のメガキャップテックである。2026年1月に史上数社目の $4 trillion クラブ入りを果たし、「AIトレードの勝者」として市場の評価を勝ち取った。Q1 2026(2026/3/31期)決算は、連結売上 $109.9 billion(+22% YoY、11四半期連続二桁成長)、営業利益 +30%、営業利益率は前年比2ポイント拡大の 36.1%、純利益 $62.58 billion・希薄化後EPS $5.11(+81% YoY)という、規模を考えれば異例の加速を示した。
Cloud営業利益率が前年の17.8%から32.9%へジャンプし、Capex の収益貢献が見え始めた現局面で、この倍率は成長率(売上+22%・EPS+81%)に対して保守的である。最大リスクはDOJ控訴審での構造的救済(Chrome/Android分離)の復活と、AI Capex が利益率を圧迫し続けるシナリオである。
2. 事業構造と競争優位性
2-1. セグメント別売上(Q1 2026)
| セグメント | 売上 | YoY | 営業利益 | コメント |
|---|---|---|---|---|
| Google Services | $89.6B | +16% | 高収益の屋台骨 | Search +19% / YouTube広告 +11% / Subs・Platforms・Devices +19% |
| ┗ Google Search & other | (Services内)+19% | — | — | AI Overviews/AI Mode で検索が加速、広告毀損懸念を払拭 |
| Google Cloud | $20.0B | +63% | $6.6B(margin 32.9%) | 前年 $2.2B・17.8% から急拡大、バックログ $460B 超 |
| Other Bets(Waymo等) | 小規模 | — | 営業損失 | Waymo は $126B 評価で $16B 調達 |
| 連結合計 | $109.9B | +22% | 営業利益率 36.1% | 純利益 $62.58B / EPS $5.11(+81%) |
Google Cloud のバックログ(受注残)は QoQ でほぼ倍増し $460 billion 超、うち約50%が今後24ヶ月で売上計上見込み。これは Cloud の成長持続性を裏付ける最重要指標であり、エンタープライズAIインフラ/ソリューション需要が GCP の容量制約を上回っている状況を示す。
2-2. 競争優位性(Moat)
- 検索の構造的独占とAIによる防衛: 世界検索シェア約90%。当初懸念された「ChatGPT 等によるディスラプション」は、AI Overviews / AI Mode の実装と Search +19% 成長により、現時点では杞憂であったことが示されつつある。広告主の蓄積、クエリ網羅性、行動データの規模は容易に複製不能。
- フルスタックAI(Gemini + TPU + Cloud): 自社設計 TPU により学習/推論コストで他社(NVIDIA GPU 依存勢)に対し構造的優位。Gemini 3 が高評価を獲得し、Gemini App は MAU 750M 超。自社モデルが毎分100億トークン超を処理する規模は収益化エンジンに直結。
- YouTube の二重収益: 広告(Q1 +11%)+ サブスク(YouTube Premium/TV)の二本柱。動画領域での圧倒的リーチは Netflix/TikTok 等とは別軸の防衛線。
- オプション価値(Waymo / Other Bets): Waymo は $126B 評価で $16B を調達、週間有料乗車 500K 超、2026年末に週100万回を目標。連結業績にはほぼ織り込まれていない潜在的な SOTP アップサイド。
2-3. SWOT
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| S (Strength) | 検索シェア90%・Search +19%成長 / Cloud +63%加速+$460Bバックログ / フルスタックAI(Gemini+TPU)/ TTM営業CF $174B / 営業利益率36.1% / $4.2T時価でも+22%成長 |
| O (Opportunity) | Cloud のシェア拡大余地(AWS/Azure 追走)/ Gemini 収益化本格化 / Waymo の SOTP 顕在化 / Capex 投資回収によるCloud margin 更なる拡大 / 自社株買いによるEPSレバレッジ |
| T (Threat) | DOJ控訴審で構造的救済(Chrome/Android分離)復活リスク / データ共有・シンジケーション義務による検索Moat希薄化 / 生成AIによる検索クエリ代替の長期リスク / AI Capex競争の過熱と投資効率悪化 / EU/各国規制 |
3. 直近業績とファンダメンタル
3-1. 四半期・通期推移
| 指標 | FY2025 通期 | Q4 2025 | Q1 2026 |
|---|---|---|---|
| 連結売上 | 大幅増 | $113.8B | $109.9B(+22% YoY) |
| 営業利益率 | 31.6% | — | 36.1%(+2pt YoY) |
| 純利益 | — | $34.5B | $62.58B |
| 希薄化後EPS | $10.91 | — | $5.11(+81% YoY) |
| Google Cloud 売上 | — | — | $20.0B(+63%) |
| Cloud 営業利益(率) | — | — | $6.6B(32.9%、前年17.8%) |
| FCF | $73.3B | — | TTM 営業CF $174B |
| 四半期配当 | — | $0.21 宣言 | $0.21 |
読み解き: Q1 2026の純利益+81%・EPS$5.11は一部に投資有価証券の評価益等の非経常要因を含むものの、コアの営業利益率36.1%とCloud利益の構造改善($2.2B→$6.6B)は本質的な収益力向上を示す。AI Capexの先行投資にもかかわらず連結営業利益率が拡大している点は、Capex 懸念派への強力な反証である。一方、巨額Capexの減価償却が2026〜2027年にかけて費用化されるため、2027年EPSコンセンサスが一旦 $13.27 と2026年($14.22)から鈍化する見込みは留意点(投資回収のタイムラグ)。
3-2. 株主還元
- 配当: 四半期 $0.21(年率 $0.84)。配当利回りは約 0.24% と低い(成長株として配当より再投資・自社株買い優先)。kabutan調査で配当期待23位なのは妥当。
- 自社株買い: 期限なしの継続的な repurchase program を保有。Q4 2025だけで $5.5B 規模。巨額FCFを背景にEPSを下支え。
3-3. 株価指標(2026/6/23 時点)
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 株価 | $345.21 |
| 時価総額 | 約 $4.2 trillion |
| 発行済株式数 | 約 12.1 billion(A+C+B合算ベース) |
| FY2026 予想EPS(コンセンサス) | 約 $14.22 |
| Forward P/E(2026E) | 約 24.3x |
| FY2025 実績EPS | $10.91 |
| TTM P/E | 約 31x |
| 配当(年率) | $0.84 |
| 配当利回り | 約 0.24% |
| TTM 営業CF | $174B |
| FY2025 FCF | $73.3B |